自己免疫性肝疾患として自己免疫性肝炎(AIH),原発性胆汁性胆管炎(PBC),原発性硬化性胆管炎(PSC)が挙げられる.いずれもその病態に自己免疫機序が関わっており,性別・年齢を問わず,肝細胞障害の患者を診た時にはAIHを,また慢性胆汁うっ滞患者ではPBC・PSCを常に念頭に置くべきである.AIHに対しては副腎皮質ステロイド薬が,またPBCに対してはウルソデオキシコール酸が著効するが,治療抵抗例に対する第二選択薬がAIH・PBCともに確立されておらず,今後エビデンスの集積および保険適用の取得が必要である.PSCでは有効性が検証された薬剤が存在せず,新規治療薬の開発が急務である.