2019 年 116 巻 12 号 p. 979-993
CT,MRIによる膵囊胞性病変の鑑別について,実践的診断プロセスを中心に概説する.重要な画像診断プロセスは,1)T2WI,MRCP,DWIによる囊胞内容液の性状診断,2)囊胞の形態的特徴把握である.1)では,膵管内乳頭粘液性腫瘍と粘液性囊胞性腫瘍はDWIでほぼ鑑別が可能であり,囊胞内固形成分の有無が推定できることから,リンパ上皮囊胞や膵内副脾に発生する類表皮囊胞の診断に役立つ.2)では,漿液性囊胞性腫瘍やリンパ上皮囊胞に特徴的な形態・囊胞辺縁性状が見られる.囊胞変性の強い膵悪性腫瘍は,時に良性囊胞性病変と鑑別が必要であるが,特に予後良好な破骨細胞様巨細胞腫瘍は,念頭に置くべきである.