2020 年 117 巻 1 号 p. 20-29
従来,慢性肝疾患症例の肝線維化進展度の診断は,従来肝生検で採取された肝組織所見を評価することで行われてきたが,肝生検は侵襲性をともなう検査で患者の負担が大きいことが問題となっていた.血液検査だけで肝線維化進展度を診断する,いわゆるリキッドバイオプシー(liquid biopsy)になりうるバイオマーカーとして,Mac-2結合タンパク糖鎖修飾異性体(Mac-2-binding protein glycosylation isomer;M2BPGi)は日本で開発された.既にM2BPGiは,各種肝疾患での肝線維化進行度の診断や発癌リスクを予測する上で有用であることが数多く報告されている.日常臨床でM2BPGi値を活用する場合には,原因疾患によって,肝線維化進展度や発癌リスクを評価する指標としてのM2BPGiの絶対値が異なる点は注意すべきである.