2020 年 117 巻 5 号 p. 394-401
大腸がんのリスクには多くの生活習慣が関わっている.世界がん研究基金・米国がん研究所は大腸がんの疫学研究を系統的にレビューし,運動,全粒穀類,食物繊維を含む食品,乳製品,カルシウムサプリメント(以上,リスク低下),加工肉,飲酒,肥満,高身長,赤肉(以上,リスク上昇)に関して「強いエビデンス」があると判定した.日本ではがん予防研究班が評価を行っており,運動,飲酒,肥満は「確実」あるいは「ほぼ確実」としている.糖尿病ばかりでなく前糖尿病から大腸がんリスクが高まることが報告されている.大腸がんと糖尿病のリスク要因は類似しており,がんと代謝性疾患の同時予防が可能である.