2021 年 118 巻 11 号 p. 1004-1011
遠隔転移を認めない局所浸潤大腸癌には他臓器一括切除術が推奨され,一括切除が完遂できれば,他臓器浸潤の認められない大腸癌と同程度の予後が期待できる.術前に他臓器に浸潤が疑われた癌のうち病理診断にて実際に浸潤が認められる症例は約半数であるが,術前画像診断や術中所見では浸潤を否定し難いため,疑われる場合には他臓器一括切除が必要である.腹腔鏡手術も考慮されるアプローチであるが,腹腔鏡での手術継続が困難と判断されたなら,術中偶発症をおこす前に開腹移行(戦略的開腹移行)するべきである.複雑な再建を必要とする症例では,専門医のいる高次の病院で手術を行うことが推奨される.術前治療(NAC,CRT)は1つの選択肢である.