2022 年 119 巻 8 号 p. 733-743
内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)は,肝胆膵疾患の診断・治療に必須の内視鏡処置として日常臨床で広く行われている.その一方でERCP処置に関連した膵炎(ERCP後膵炎)は頻度が高く,重症化リスクのある深刻な偶発症である.臨床的に重要な課題であり,多くの臨床研究が行われ,有効な予防法として直腸内NSAIDs投与,予防的膵管ステント挿入,急速輸液療法などが実臨床で使用されている.本稿を通じてERCP後膵炎の発症を可能な限り予防し,迅速な診断と対処,初期治療を行うシステム作りについて言及したい.