2023 年 120 巻 1 号 p. 27-34
近年の本邦におけるランダム化比較試験で径3cm以下・3個以下の肝細胞癌では肝切除とラジオ波焼灼法の成績に差は見出されなかった.しかし,治療法の決定には腫瘍位置や大きさを十分検討する必要があり,手術は正確な手技に基づく系統的切除を行うことが術後再発抑制の上で重要である.また,近年の薬物療法の発達にともなって肝細胞癌でも“Borderline Resectable”および“術前化学療法”という概念が視野に入りつつあり,多職種チームによる集学的治療の中で手術の安全性を担保することが重要である.背景肝機能不良の場合でも,近年適応拡大された肝移植を選択肢に入れて専門の移植施設と連携して診療を行っていくことが重要である.