抄録
「ヒスタミン」ヲ直接腸内ニ注入スルニ、健康犬ニ於テハ肝機能並ニ腸内因子ニ依リテ其一般血行内移行ハ阻止セラレ吸收作用ラ呈セズ。然レドモ注入量甚ダ大ナルニ於テハ其胃液分液催進作用ヲ呈スルニ至ル。其腸内注入ニ依リテ吸收作用ヲ呈スルニ要スル「ヒスタミン」量ニハ一定ノ限界アリ。此限界ニ就キ實驗セル成績左ノ如シ。
一瓱ノ「ヒスタミン」ヲ腸瘻ヲ介シ直接腸管内ニ注入スルニ胃液分泌ハ惹起セラル、コトナシ。一〇瓱ノ「ヒスタミン」ヲ直接腸管内ニ注入スルニ、胃液分泌ハ一般ニ惹起セラル、コトナケレドモ、亦僅カニ胃液分泌ノ催進セラル、コトアリ。此量ヲ以テ腸内ニ注入シテ胃液分泌催進ナル吸收作用ヲ呈スルニ必要ナル「とスタミン」量ノ限界トナシ得可シ。二〇瓱ノ「ヒスタミン」ヲ直接腸管内ニ注入スルニ、胃液分泌ハ稍々高度ニ催進セラル。酵素量ニハ影響ナシ。「ヒスタミン」ノ大量四〇瓱ヲ直接腸管内ニ注入スル時ハ、之レニ依リテ胃液分泌ノ催進セラル、コト甚ダ旺盛ニシテ、其程度ハ凡ソ「ヒスタミン」一瓱ヲ皮下注射セル場合ニ比適セリ。
