2003 年 100 巻 10 号 p. 1212-1218
症例は, 切除標本からCrohn病と診断され, 経過観察されていた38歳女性. 嘔吐・腹痛により1カ月で-11kgという急激な体重減少と, 肝機能障害が出現したため入院となる. 小腸造影検査でterminalileumに狭窄とCrohn病変を, 肝生検で組織学的にNASHを認めた. 回盲部切除術後は全身状態の改善と体重の増力口を認めたが, 肝合成能に変化は無く術後約1年に, 肝不全で死亡した. Crohn病の経過中にNASHを併発し, 栄養状態の改善にもかかわらず死の転帰をとったきわめてまれな症例を経験したので報告する.