2003 年 100 巻 11 号 p. 1295-1301
近年の膨大な研究により,Helicobacter pylori感染が上部消化管疾患のみならず,血液疾患,心・血管系疾患,皮膚疾患など消化器以外の疾患と関連している可能性が示唆されている.さらに,胃外に発生したMALTリンパ腫の除菌奏功例も報告されている.特発性血小板減少性紫斑病に関しては,わが国ではH. pylori陽性患者の約半数に除菌治療が期待できる状況にあり,近い将来,除菌適応疾患に加わる可能性が高い.本稿で紹介した疾患の中には,エビデンスが不十分なものも少なくなく,また疾患によりH. pylori感染の関与の程度も様々と思われる.今後,各専門家が協力して慎重に検証していく必要がある.