2003 年 100 巻 11 号 p. 1312-1316
症例は52歳男性.全身倦怠感を主訴として近医受診.著明な肝機能障害のため当科入院.発症の2週間前に孫が伝染性紅斑症に罹患.通常の肝炎ウイルスマーカーはすべて陰性.ParvovirusB19に対するIgM抗体とIgG抗体はともに高値陽性.T. Bil.は23.5mg/dl,Prothrombin timeは54.5%であった.ステロイドパルス療法によりALT,PTは速やかに改善した.成人においてParvovirusB19により,高度黄疸,血液凝固異常を来した報告はこれまでほとんどなく,貴重な症例と考えられる.