日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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薬物性肝障害の治療:治療の実際とEBMに基づくUDCAの効果
薬物性肝障害
松崎 靖司西川 清広
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キーワード: UDCA, flutamide, EBM
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2003 年 100 巻 6 号 p. 659-666

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抄録

薬物性肝障害の基本治療としては, 起因薬物の同定を速やかに行い, 早期にその薬物の投与を中止することが第一選択である. 次に, 安静臥床での経過観察, 食事療法, そして薬物療法である. 薬物療法としては, グリチルリチン製剤, ウルソデオキシコール酸(UDCA),コレスチミドなどが基本である. さらに遷延型には,副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン)が使用される. 劇症化する場合は, 劇症肝炎の治療に準ずる. 広く使用されるUDCAの効果は, 利胆作用のほかに肝細胞保護作用, 免疫調節作用などとされる. 次にフルタミドによる薬物性肝障害に対するUDCAの予防効果を明らかにした. ラットモデル実験を臨床的に検証し, EBMに基づくUDCA治療法を確認した. 今後の薬物性肝障害の予防を考える上でも重要な課題と考える.

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