日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
拡大観察用ファイバーガストロスコープの基礎的研究
第二報 ヒト胃表面粘膜の走査電顕による観察
勝 健一島本 多喜雄市岡 四象竹本 忠良吉井 隆博平塚 秀雄
著者情報
ジャーナル フリー

1971 年 68 巻 10 号 p. 1080-1088

詳細
抄録

われわれは従来の胃内視鏡検査ではとらえ難い微細な胃粘膜の変化を把握するために拡大観察用のフアイバースコープ (FGS-ML) を用いて検討を行なつてきた. その基礎的研究として実体顕微鏡および走査電顕で微細所見の観察を試みているが, 今回, 人の胃を用いて線状潰瘍瘢痕を走査電顕で観察した. その結果, 胃小窩は梯子状のものとドーナツ状を呈するものに大別できた. 特に線状潰瘍瘢痕で再生した上皮で被われた部分のうち, 噴門側に梯子状のもの, 幽門側にドーナツ状の胃小窩が認められた. 3,000倍拡大走査電顕像には胃上皮細胞表面が観察されたが, 薄い粘液膜が被つており, microvilli と思われる多くの顆粒状の突起を認めた. しかし, 本症例が胃潰瘍切除例であり, 表層性胃炎が強く, 粘液が充分除去されておらず, したがつてこのような場合の粘液除去法が今後の問題と考える.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top