日本消化器病学会雑誌
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ラット実験的胃潰瘍 (いわゆる Clamping 法) に於ける粘膜の電顕的観察特に再生粘膜上皮細胞を中心に
今井 敬喜
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1971 年 68 巻 3 号 p. 176-195

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抄録

clamping 法を用いて, ラットに実験的胃潰瘍を作成し, 胃粘膜の再生現象, とくに腺細胞の再生, 分化の過程を4週間に汎り経時的に電子顕微鏡により観察した.
潰瘍初期の再生粘膜には, 主として undifferentiated cell で構成されている upper cell population および epithelial ingrowth の二群の細胞集団が認められた. 潰瘍中期になると, この未分化細胞は immature mucous neck cell に発展し, 再生粘膜は, 大部分この細胞によつて構成される原始腺組織によつて充たされた.
潰瘍後期に入ると, これらの immature cell はさらに分化し, 粘液頚細胞を主体とする成熟腺細胞を形成するに至るが, とくにこれらの中間段階にある transforming cell が目立ち, これらの細胞の間に argyrophil cell がしばしば認められた. 潰瘍終期になると, この再生粘膜は established mucosa と区別しえず正常安定状態に復帰しているのが観察された.

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