1971 年 68 巻 7 号 p. 685-698
ビリルビン•グルクロナイドの加水分解酵素であるβ-グルクロニダーゼ (β-G) の阻害物質, とくにグルコ糖酸 (グルカロ-1.4-ラクトン) について各種肝•胆道疾患における, その胆汁中変動を検討した. その結果, グルコ糖酸量は肝•胆道系に異常のない対照例は平均200μg/mlで,「コ」系石群はその1/2量,「ビ」石灰石群は1/5量であつた. グルコ糖酸と総ビリルビン量の関係は対照例で正の相関が認められ, グルコ糖酸とβ-G活性の関係は一般に, グルコ糖酸含量が多い症例はβ-G活性が弱く, グルコ糖酸量の少い症例はβ-G活性が強い傾向がみられた. したがつて, 胆汁中グルコ糖酸はβ-Gとともに「ビ」石灰石成因に大きな役割を演じているものと推察された.