日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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Clamping-Cortisone潰瘍の胃壁内Acid Mucopolysaccharideの変動に関する研究
鍋島 靖人
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1972 年 69 巻 10 号 p. 1009-1023

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抄録

ラットの胃壁中のAcid mucopolysaccharide (AMPS) をCarbazole法と電気泳動法の二種の方法で測定し, Clamping (C) およびclumping-cortisone (C-C) 胃潰瘍の治癒過程におけるAMPSの変動を追及した.正常胃のUronic acidは100mg乾燥重量当り56.9μgであつた.これに比し, C潰瘍1週目では2.5倍の増加が観察され, 3週で元値に戻つた. C-C潰瘍1週目の増加は正常の1.6倍に止まつた.これはcortisoneの抑制効果によるもので, C-C潰瘍遷延化の一因と思われる.また分画測定では, 1週目のC潰瘍はChondroitin sulfate B (ChS-B) の増加をみるが, C-C潰瘍では著変をみとめなかつた. 3週目では, C潰瘍, C-C潰瘍ともChS-Bの著増をみとめた.これは潰瘍底結合織の増加に由来するものと考えられる.

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