日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
内視鏡的膵管造影の検討
剖検例, 膵機能検査成績との対比を中心として
中野 哲鈴木 敏行堀口 祐爾北村 公男三輪 正夫岡田 克彦竹田 武夫
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1972 年 69 巻 10 号 p. 997-1008

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抄録

31例の剖検例から, 膵管径, 膵管の走行などの基礎的検討を行ない, 臨床例では86例に内視鏡的膵管造影を, さらにその中の62例にP.S.試験, 尿Amylase一週間連続測定, ブドウ糖負荷試験などの膵外, 内分泌機能検査を行ない, これら諸検査成績と膵管造影所見とを対比した.これらの検討から, 膵管の不整, 拡張のみられる症例に膵外, 内分泌機能の異常が多くみられた.しかし膵管径の著明に拡張した症例において, 従来の3因子による判定では, P.S.試験の成績が正常の場合があり, 逆に膵外分泌機能の低下がみられても膵管は全く正常像を示すことがあり, 膵の機能と形態の解離がみられることがあるので, 慢性膵炎を膵管造影所見から診断することは, 甚だ困難な現況と思われる.

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