1972 年 69 巻 3 号 p. 228-243
Indocyanine green (ICG) を用いて肝の移行率 (a, b, h) および最大排泄能 (Tm)・比較的貯臓能 (S) を測定し, 肝における色素の移送と代謝について検討した. 血漿から肝への移行率 (a) の低下は急性肝炎極期, 肝硬変, 閉塞性黄疸, Rotor型に著明であり, 肝から胆汁への移行率 (h) の低下は急性肝炎極期, 回復期, 慢性肝炎, 閉塞性黄疸, Dubin-Johnson症候群に著明であつた. 肝から血漿への移行率 (b) は閉塞性黄疸およびRotor型において増加がみられた. 最大排泄能 (Tm) の低下は急性肝炎, 肝硬変, 閉塞性黄疸, Rotor型, Dubin-Johnson症候群に認められ, 比較的貯臓能 (s) の低下は急性肝炎, 肝硬変, Rotor型に認められた.