日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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実験的胃十二指腸潰瘍に関する研究
ゼリレチンおよびガストロン様物質によるガストリン潰瘍の抑制
瀬川 昂生
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1972 年 69 巻 5 号 p. 474-490

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抄録

tetragastrinをラット尾静脈より投与すると胃・十二指腸に潰瘍が発生する.この潰瘍発生は, ブタの十二指腸より抽出されたsecretinおよび鯨の胃粘膜より抽出された, gastrone様物質たるglycopeptideによつて抑制される.gastric fistulaを用いての検討ではsecretinはgastrinの胃酸分泌作用を抑制し, pepsinの排出量を軽度増強させる.一方, gastroneは胃酸分泌作用を抑制するが, pepsinの排出量は変えない.また, gastrinによる十二指腸の運動は両者により抑制されるが, その作用はgastroneの方が強い.16.6%のgelatinに溶解したgastrinを長期間連続に皮下注射すると, 胃壁細胞数および胃粘膜の厚さは増すが, 主細胞数は変わらない.この壁細胞増生作用もまた, secretin, gastroneにより抑制される.secrein, gastrone等のfeed backを営む消化管ホルモンは消化性潰瘍の発生防止に大きい役割を果しているものと考える.

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