日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
膵炎の修復過程におよぼす食餌の影響
ラットについての実験的研究
能登 陞
著者情報
ジャーナル フリー

1972 年 69 巻 9 号 p. 869-878

詳細
抄録

膵炎の修復過程に対する食餌の影響を検討する目的で, 高蛋白・高脂肪食と高含水炭素食で長期間飼育したラットに, 膵炎を起こさせ, その修復過程を生化学的および組織学的に検討した.
1. 膵組織のムコ多糖およびコラーゲン量の変動は, 両群とも膵炎発生直後の急性期に一時増量し, その後やや減少の傾向を示すが, 1カ月目より再び増量し, 2カ月目では高蛋白・高脂肪食群で著明に増量した.
2. 組織学的検索では, 2週目までは両群ともに, 炎症像の残存がみられたが, 2カ月目では, 高蛋白・高脂肪食群で, 酵素原顆粒の再生と線維増生の所見が高度にみられた.高含水炭素食群では, 線維増生が軽度であつた.以上の成績から, 急性膵炎の修復反応は高蛋白・高脂肪食群で旺盛であり, しかもより高度の線維化が起きることが判明した.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
次の記事
feedback
Top