日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
肝疾患時における early bilirubin (非造血成分) の変動に関する研究
(第1報) 急性伝染性肝炎 (回復期) および乙型肝硬変症における血中および胆汁中 early bilirubin 値の変動について
多羅尾 和郎遠藤 修神代 明雄福島 孝吉
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1973 年 70 巻 12 号 p. 1333-1342

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抄録

early bilirubin 非造血成分は, 組織ヘムまたは組織ヘム蛋白に由来するとされ, その源としては, 動物実験により肝由来のものが主であると考えられている. しかし人間において諸種肝疾患時にこれがどの様な変動を示すかを解明しえた研究は殆んど無い. われわれはこの点を解明すべく, 肝疾患時における early bilirubin 非造血成分の変動を〔4-14C〕δ-aminolaevulinic acid を用いて血中および胆汁中について検索した. その結果, early bilirubin (非造血成分) の産生量は, 血中•胆汁中共に急性伝染性肝炎回復期では, 健常対照群の約2倍と著増していた. また肝シンチグラム上肥大型を示す肝硬変群ではやはり健常群の約1.4倍と増加していた. 一方, 肝シンチグラムで萎縮型を示す肝硬変群においては, 健常群の約1/2と著減していた. これらの結果から人において early bilirubin 非造血成分の産生に肝が主たる役割を果たしていることが判明した.

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