日本消化器病学会雑誌
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消化管の走査電顕による研究
第三報 消化管粘膜表面の立体観察
勝 健一
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1973 年 70 巻 8 号 p. 812-819

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抄録

物体表面の微細形態を観察しうる走査電顕によつて, 消化管粘膜表面と病理組織学的特徴を同時に観察することは不可能であつたが, 今回, 消化管粘膜表面の観察時に組織の断面側からの組織像を同時に写真撮影しうることに成功したので, その方法と症例の一部を供覧する. ヒトの切除胃, ウサギ, アカゲザルを用い, 試料は従来の方法と同様に処理するが, 脱水直後に鋭利な刃物で組織を裁断し観察部位の断面を作つた後に蒸着を行なう点が異なつている. 観察の結果, 胃, 十二指腸, 小腸及びウサギの虫垂において断面像は光学顕微鏡で得られる像と同様であり, これを観察しつつ粘膜表面の形態観察を行ないうることが明らかとなつた. 特に高倍率で胃粘膜被覆上皮細胞の一個の表面と断面を同時に観察することに成功した.

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