1973 年 70 巻 9 号 p. 942-950
従来, 困難とされていた Billroth II 法切除胃例の内視鏡的膵•胆管造影を20例に試み, 15例の退影に成功した. 側視式十二指腸ファイバースコープ (JFtype B) では, 5例中3例の退影に成功し, 膵管像は3例, 胆管像は1例に得られた. 直視式上部消化管ファイバースコーブ (GIF typeD, D2) では, 14例中12例の退影に成功し, 膵管像は10例, 胆管像は7例に得られ, 5例では膵, 胆管ともに退影された. 手技的には, 1) 胃空腸吻合部より輸入脚への挿入, 2) トライツを越えること, 3) 肛側からの cannulation の3点が困難で, これらの手技の問題点について述べた. 本法は, 今後, 器械の改良, 手技の熟達などにより, 比較的容易に実施されるようになり, 胃切除後症候群, 輸入脚症候群などへの内視鏡的アプローチも可能になるものと思われる.