日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
ヒト尿中アミラーゼアイソザイムの解析と臨床応用への試み
大槻 真佐伯 進近藤 勤尤 芳才馬場 茂明
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1974 年 71 巻 12 号 p. 1241-1248

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抄録

血清, 尿中アミラーゼ活性は膵疾患だけではなく種々の疾患時に増大することが知られているが, アミラーゼ活性測定は現在もなお膵疾患診断のための主たる検査となつている.
この問題に対して, アミラーゼをポリアクリルアミドゲル薄層電気泳動によりアイソザイムに分離し, 各々のアイソザイムについて起源臓器を検討した.その結果ヒト尿中には8つのアミラーゼアイソザイムを認めた.これらのアイソザイムの易動度は唾液腺あるいは膵アミラーゼアイソザイムの易動度と一致した.さらに唾液腺機能低下患者尿中からは流行性耳下腺炎患者尿中で活性が増大しているアミラーゼアイソザイムは消失しており, 膵全摘患者尿では流行性耳下腺炎患者尿で活性が増大しているアミラーゼアイソザイムのみが認められた.これらの事実より, ヒト尿中アミラーゼアイソザイムは唾液腺および膵に由来することを確認した.健常人尿中には, 唾液腺あるいは膵アミラーゼと易動度の一致する4-6つのアイソザイムを認めた.さらに正常人尿中に, Amy U-1よりも易動度の遅いアイソザイムAmy U-1sを認め, 家系調査の結果優性遺伝することを確認した.正常人尿ではAmy U-1に最大のアミラーゼ活性を認めた.一方慢性膵炎患者尿では寛解期にはAmy U-3の方がAmy U-1よりもアミラーゼ活性が大きかつたが, 膵炎再発時には, Amy U-1のアミラーゼ活性の増大を認めた.

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