1974 年 71 巻 12 号 p. 1271-1280
α-fetoprotein (AFP) 陽性の胃癌とその肝転移例におけるAFP産生について検討した.胃癌14例, 胃癌の肝転移12例および既報のAFP陽性胃癌1例と胃癌の肝転移例2例を対象とし, それらの組織像と血清および組織中AFP濃度との関連を検討した.
AFP濃度の測定は抗体寒天平板法およびradioimmunoassay (RIA) 法を用いて行つた.
Immunoelectrosyneresis法でAFP陽性を示す胃癌の肝転移例は, RIA法でAFP陰性の胃癌の肝転移例に比べ特異な組織像を示した.この場合, 発病初期からAFPは産生されるが濃度は低く, 所属リンパ節からさらには肝へと転移が進むにつれて血清AFP濃度は増加した.