1974 年 71 巻 4 号 p. 316-327
血中アミラーゼ濃度と肝機能ことに胆汁排泄との関連を追求した.
ラットの胆汁中にアミラーゼが排泄されることを証明した.
デヒドロコール酸による胆汁流量増加時には濃度の低下があり, 胆汁中排泄量は不変であつた.ブタ膵アミラーゼ静注および膵傷害により血中濃度の上昇とともに胆汁中排泄量が増加し, 特に膵傷害時には血中濃度と胆汁中排泄量との間に正の相関を認めた.腎摘出により静注したアミラーゼの血中よりの消失が遅延し, 胆汁中排泄量の増加をみた.以上の実験を通じて, 肝機能が正常の場合には血中濃度の上昇に伴い胆汁中排泄量は有意に増加することが示された.
一方, 四塩化炭素による慢性肝傷害時には血中濃度の上昇をみたが, 胆汁流量が減少するので, 排泄量には有意の増加はみられなかつた.
なお, 胆管結紮時には静注したアミラーゼの血中よりの消失が遅延し, 血中濃度の調節に対する胆汁排泄の関与を認めえた.