1975 年 72 巻 2 号 p. 111-126
胃切除後患者100例 (吻合部潰瘍症例26例を含む) を対象とし, pH測定用ラジオカプセルを用い残胃内pH値を測定し, 多方面から臨床的検討を加えた. 1) カプセル法は吸引法に比べてより生理的な胃液検査法であり, 残胃に関する限り吸引法による酸分泌量の計測は信頼性に乏しい. 2) 早朝空腹時の残胃内pH (basal pH) が2.0以下を持続する症例に吻合部潰瘍を発生する頻度が高かつた. 3) 一般に残胃は Tetragastrin (T. G.) に良く反応したが, basal pHが高く T. G. に良く反応する症例に術後愁訴のないものが多かつた. 4) 吻合部潰瘍症例の約半数は内科的療法に反応したが, 永久的な減酸効果が期待できないため, 適当な時期に外科的処置を施行することが望ましい.