1975 年 72 巻 2 号 p. 92-100
Radioimmunoassay: (二抗体法) により消化管その他各種組織の immunoreactive gastrin (IRG) を調べた.
幽門前庭部IRGは平均4,937ng/g (w/w) と高く, 肛門側へ向い次第に減少して空腸では3.2ng/gと低い. 胃•十二指腸潰瘍合併剖検例の幽門前庭部はIRG平均617ng/gと低く, 悪性貧血生検では幽門前庭部•胃体部共に高いIRGを示して注目された.
ゲル濾過および殿粉ゲル電気泳動により分画すると幽門前庭部では"little gastrin"が主体で (約90%), 小腸では肛門側へ向い次第に"big gastrin"が増す. 悪性貧血胃粘膜には微量に"big big gastrin"相当分画を認めた.
以上によりIRGの組織内濃度とその分布様式を調べた結果から, その生理学的•病態生理学的意義を考察した.