1975 年 72 巻 3 号 p. 232-242
円形, 単発の入院例を対象に, 胃潰瘍の治癒支配因子を推計学的に検討し, あわせ治癒傾向の予測を試みた.
Kruskal-Wallis の検定によつて, 6項目20因子から潰瘍の治癒支配因子を探索し, とりだされた要因に数量化理論第2類を用いて重みづけした. その成績から, 第1級の治癒支配因子は内視鏡的な潰瘍の病期, ニッシエの大きさ, 第2級因子は皺襞集中, 辺縁隆起, 病悩期間の長さ, 第2級因子疑としては小弯短縮, 小弯側潰瘍であると結論した. 各要因の数量化の結果をもとに治癒傾向の予測図を作製すると, 初回検査時のデーターでは誤判別の確率22%でもつて潰瘍が60日以内に治癒するか否かを, 治療1カ月後には1カ月ニッシエ縮小率を加えることによつて誤判別の確率6%でもつて90日以内に治癒するか否かが判別できると推定された.