1975 年 72 巻 4 号 p. 355-364
実験的蛋白漏出性胃腸症における消化管局所線溶と蛋白漏出の関連を検討し, 放射線照射並に5FU投与による蛋白漏出についても, 局所線溶の推移と蛋白漏出のパターンの類似性, 更には蛋白漏出が抗プラスミン剤により阻止されたことから, 両者の関連を確認し, すでに報告した臨床的考察の裏づけを得た. 他方, 胸管結紮に基く蛋白漏出は, 局所線容の亢進と関係なく, 漏出機序を異にすると思われた.
これらにより, 蛋白漏出性胃腸症の多くのものに, その病因に基礎疾患に伴う局所線溶亢進が関与するという新しい考え方に対し, 確信を深めた.