日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
膵頭十二指腸切除例におけるグルカゴンの膵外分泌に及ぼす影響
須田 雍夫鎌田 常明太田 潤姉歯 安正菊地 金男
著者情報
ジャーナル フリー

1975 年 72 巻 6 号 p. 743-750

詳細
抄録

膵頭十二指腸切除5例の膵管ドレナジーより採取した膵液を用い, Glucagon の膵外分泌に対する影響を検討した. Secretin 注入下で Glucagon 2及び3mgの単回投与は膵の水, 電解質分泌には影響せず, 膵酵素の分泌を抑制した. 酵素量の最高抑制値は2mg投与では前値の70~80%, 3mg投与では15~45%であつた. 抑制効果は Glucagon 投与後, 直ちに発現し, 約60分間持続した. 血糖値の上昇は200mg/dl以下であつた. 比較のために高張糖液静注時の膵外分泌に対する抑制効果を検討した. これらの結果から Glucagon の膵外分泌抑制は膵に対する直接作用であるが, 酵素合成阻害ではなく, 排出阻害によるものと考えられた. これらをもとに Glucagon の急性膵炎治療に対する適用について討論した.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事
feedback
Top