日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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慢性肝傷害における遷延感作とヒスタミンの意義についての実験的研究
石井 公道土屋 雅春
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1975 年 72 巻 9 号 p. 1138-1143

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抄録

肝傷害慢性化の機序に関して自己アレルギー機構と, アレルギー反応の際の化学的伝達物質で血管作働性アミンの一つであるヒスタミンの意義について実験的に研究した. 家兎に同種肝抗原とヒスタミンを投与するとヒトの慢性肝炎活動型に酷似する像が得られ, さらに偽小葉形成を伴う肝硬変へ進展した. また肝細胞癌, 胆管癌, 細胆管増生並びに上皮過形成を夫々1例惹起し得, 肝細胞癌例では肺, 腎, 脾への転移が認められた. これらの所見は肝傷害慢性化には自己アレルギー機序が密接に関与しており, 遷延する抗原刺激及びそれによる高ヒスタミン血症と微小循環系の擾乱が悪性化とその進展に重要な役割を担つていることが示唆された.

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