1976 年 73 巻 1 号 p. 13-21
triolein などの長鎖脂肪 (LCT) と異なつた消化吸収機序を有する中鎖脂肪 (MCT) の吸収試験を14C-trioctanoin を経口負荷し, 呼気中の14CO2を測定する方法でラットにおける基礎的実験および臨床的応用を試みた.
14C-trioctanoin 消化吸収試験は14CO2放射活性の時間的推移およびその最高放射活性がMCTの腸管吸収状態をよく反映しており, しかも体内放射能は4時間で90%が放出されるため安全でかつ比較的簡単に施行できる. 種々の吸収不良症患者にこの14C-trioctanoin 消化吸収試験を131I-triolein 消化吸収試験と共に施行したところ, 両試験成績の間に解離がみられ, MCTの消化吸収障害がLCTに比べて少なく, これらの患者にMCT製剤を使用することの妥当性が証明された.