1976 年 73 巻 2 号 p. 123-135
ヒト胃液中ヒスタミン分泌量と酸分泌量は, ガストリン刺激により経時的に平行して増減した. ガストリン刺激により, ラット腺胃粘膜内ヒスタミンは減少し, 胃液中ヒスタミンは逆に増加し, 両者は鏡像を呈した. C14-ヒスチジンは, 胃粘膜内でC14-ヒスタミンに変換され, ヒスタミンは胃粘膜から胃液に放出されることを確認した. ラット腺胃粘膜内ヒスチジン脱炭酸酵素活性は, ガストリン刺激で促進され, また胃粘膜から胃液に放出されたヒスタミンを補うため, その活性が上昇するものと考えられた. 以上から, 胃液中ヒスタミンは, 胃分泌能と密接な関係にあることが明確にされた.