1976 年 73 巻 2 号 p. 162-168
ポリアクリルアミドゲル•デイスク電気泳動法(PADE)を用いて, 血清アルカリフォスフアターゼ(ALP)アイソエンザイムの検出を行ない, 潰瘍性大腸炎20例中4例(20%)に特異なALP(ALP6)が検出された. ALP6は活動期にのみ肝ALP (ALP2) の減少とともに血清中に出現し, 寛解期には, ALP6が消失するとともにALP2の再出現を認めた. L-フェニルアラニン, イミダゾール等の阻害剤に対する態度は肝ALPと同様であつた. 抗ヒト肝ALP抗体と反応後のPADE像ではALP6は消失し, 抗ヒト胎盤および小腸ALP抗体とは反応しなかつた. 以上の成績より, ALP6は肝ALPが何らかの修飾を受けて変化したものと考えられる.