日本消化器病学会雑誌
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未分化腺癌由来と考えられるサリバリー型高アミラーゼ血症の1例
植田 昌敏大橋 淑人小林 道男藤井 信武田 和久
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1976 年 73 巻 5 号 p. 561-567

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抄録

症例は60歳男, 嘔吐, 体重減少を主訴として入院, 入院中腸閉塞を併発して開腹術をうけ, 術後診断は結腸癌, 組織診断は未分化腺癌であつた. 血清, 尿中アミラーゼは全経過を通じて異常高活性を持続し, 手術時採取した大網上の転移癌組織中アミラーゼ活性は血清, 腹水中のそれに比して10倍以上の高活性を認め, さらにイオン交換カラム法によるアミラーゼ•アイソザイムは唾液アミラーゼに一致していた. 癌細胞の電顕像では zymogen 様顆粒は認めなかつたが, 腫瘍細胞は互に接着し,小胞巣形成の傾向があり未分化な腺癌と考えられた. 以上の検討から本症例における高アミラーゼ血•尿症は腫瘍由来と考えられた.

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