日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
実験的膵石症
小西 孝司
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1976 年 73 巻 8 号 p. 917-927

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抄録

膵石症の発症とその結石形成機序を解明する目的で, 犬の大膵管を結紮し6カ月以上観察したところ13例中6例 (46%) に膵管内結石を認めた. 実験膵石の主成分は炭酸カルシウムであり, その他燐酸カルシウムや有機物が検出され, 結石構成成分は対比した人膵石とほぼ同様の混合率を示した. 結石形成犬の膵管は拡張,蛇行が著明であり膵液の欝滞が窺われた. 膵管結紮により膵に結合織増生と膵管上皮の粘液細胞化生が認められた.
以上の実験成績より化生膵管上皮より産出され濃縮した mucus や脱落上皮を含む plug に膵液中のCa++が沈着して結石形成が行われるものと推察され, 膵石形成には膵管の狭窄と膵液の欝滞が重要な因子であると結論した.

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