日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
空腹期におけるHeidenhain pouchの収縮運動に関する研究
高柳 隆一相沢 勇一色 重雄伊藤 漸中村 卓次
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キーワード: 空腹期収縮
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1977 年 74 巻 10 号 p. 1355-1361

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抄録

Heidenhain pouchを利用した研究は多いが, そのほとんどは分泌に関する研究であり, 運動に関する研究は少ない. 本研究では, 慢性的に植え込んだforce transducerを用いて, 意識下の犬において, 主胃とHeidenhain pouchの運動を長期間に亘り同時に記録観察した. その結果, 空腹期のHeidenhain pouchの収縮運動は主胃の空腹期収縮と同期して起る事がわかつた. 即ち一連の強い収縮運動は, 平均24.2±1.90分持続し, それに引き続き86.8±6.06分の運動休止期が続いた. このような変化はHeidenhain pouchと主胃とで次の食餌摂取まで繰り返し起り, 食餌摂取によりぴたりと停止した. 又pentagastrin (0.5, 1.0, 2.0μg/kg-hr) 静脈内持続投与によつても抑制された. このことは, 胃の空腹期の運動は, 副交感神経系よりむしろ体液性因子により強く調節されていると思われる.

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