日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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実験的胃潰瘍 (Clamping潰瘍) における再生粘膜上皮及び固有層の電顕的観察
斎藤 紀雄
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1977 年 74 巻 12 号 p. 1631-1641

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抄録

clamping法を用いて, ラットに実験的胃潰瘍を作成し, 再生粘膜直下の結合組織細胞の動態を4週間にわたり電子顕微鏡により観察した. 潰瘍初期に於いては, macrophageを主体とするphagocyticcellが中心となり潰瘍部の浄化にあたる. その後fibroblastにより膠原線維, 基質形成が進む. その中で再生粘膜の増殖, 分化が起るが, その粘膜中には, 時折, lymphocyte, mesenchymal cellが観察された. 潰瘍治癒期のlaminapropria mucosaeでは, しぼしばmacrophage, plasma cell, eosinophilが密接な関係をもつて出現した. これら胃におけるconnective tissue cellは線維形成を促進するのみならず, 粘膜上皮細胞の分化, 発育にもleader callとなる重要な役割を果すものと考えられる.

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