日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
肝疾患における膵内分泌機能, とくにα細胞機能に関する研究
第2報 実験的肝障実ラットにおけるアルギニン負荷による血中グルカゴンならびにインスリン反応について
小笠原 徹也鬼原 彰
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1977 年 74 巻 12 号 p. 1715-1723

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抄録

実験的肝障害ラットの膵内分泌機能を検討した. CCl4, 投与による急性肝障害群の空腹時グルカゴン (IRG) には対照群と差異を認めないが, 慢性障害群では有意の上昇を示した. 血中インスリン (IRI) は逆に前者で有意の上昇を示したが, 後者では対照群と差異を認めなかつた. 一方アルギニン刺激に対しては急性障害群の血中IRG反応は対照群と差異を認めないが, 慢性障害群では有意の過剰反応を示し, 血中IRI反応は前者では高反応を認めたが, 後者では逆に低反応を示した.これをI/Gモル比の変動としてみると, 急性障害群で上昇し, 慢性障害群では低下を示した. 以上より両ホルモンの血中動態とその相互関係は, 障害肝細胞の病態と密接に関連するものと推測された.

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