1977 年 74 巻 12 号 p. 1715-1723
実験的肝障害ラットの膵内分泌機能を検討した. CCl4, 投与による急性肝障害群の空腹時グルカゴン (IRG) には対照群と差異を認めないが, 慢性障害群では有意の上昇を示した. 血中インスリン (IRI) は逆に前者で有意の上昇を示したが, 後者では対照群と差異を認めなかつた. 一方アルギニン刺激に対しては急性障害群の血中IRG反応は対照群と差異を認めないが, 慢性障害群では有意の過剰反応を示し, 血中IRI反応は前者では高反応を認めたが, 後者では逆に低反応を示した.これをI/Gモル比の変動としてみると, 急性障害群で上昇し, 慢性障害群では低下を示した. 以上より両ホルモンの血中動態とその相互関係は, 障害肝細胞の病態と密接に関連するものと推測された.