日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
合成motilinの胃運動に対する作用
意識下のイヌにおける研究
伊藤 漸竹内 真人相沢 勇高柳 隆一中村 卓次
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キーワード: 胃運動
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1977 年 74 巻 2 号 p. 155-163

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抄録

motilinの生理作用を解明する目的で意識下のイヌの胃運動をstrain gage force transducerで測定しながら検討した. その結果, イヌの胃運動は食物摂取を境にしてinterdigestiveとdigestiveの2つのpatternにはつきりと2分されることがわかつた. そこで, この両期に合成motilinを0.1-2.7μg/kg/hrの割合で静脈内に持続投与した. 胃運動がdigestiveの時期ではmotilinには何等その作用がなかつたがinterdigestiveの時期ではその時期特有の収縮運動を惹起することがわかつた. motilinは元来duodenal alkalinizationにょる胃嚢運動充進にもとづき発見された十二指腸由来の消化管peptideであり, これがinterdigestiveにのみ作用してinterdigestive contractionsを惹起せしめるということは発見の動機となつた機構とも合致している. それ故motilinはinterdigestive stateにのみ作用するいわば空腹ホルモンと考えられる.

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