日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
閉塞性黄疸時におけるビリルビン代謝
第2編: 閉塞性黄疸時の血清間接型ビリルビン増加の成因について
白地 孝
著者情報
ジャーナル フリー

1977 年 74 巻 3 号 p. 275-283

詳細
抄録

閉塞性黄疸時の血清間接型ビリルビン増加の成因について, 特にβ-グルクロニダーゼを中心として, 臨床的, 実験的に検討し, つぎの様な結果を得た.
1) 臨床例において, 血清直接型ビリルビン値と間接型ビリルビン値の割合は, 約7: 3であつた.2) 臨床例で, 血清β-グルクロニダーゼ活性は, 正常値より高値であり, 正常値の4.5倍以内にあつた.3) 閉塞性黄疸ラットで, 血清β-グルクロニダーゼ活性は, 正常値より高値であり, 正常値の3倍以内にあつた.4) 閉塞性黄疸ラットで, 肝組織中β-グルクロニダーゼ活性と血清β-グルクロニダーゼ活性との間には, 正の相関々係が認められた.5) 閉塞性黄疸ラットで, 胆管結紮早期には, ライソゾーム分画の, ついで肝組織中のβ-グルクロニダーゼ活性が上昇し, 肝組織中のβ-グルクロニダーゼ活性が上昇すると, 血清間接型ビリルビン値が上昇し, 同時にpeakに達した.6) 閉塞性黄疸ラットで, ライソゾーム膜の脆弱性は, 血清ビリルビン値のpeakに一致して, 胆管結紮後5日目でpeakに達した.
以上のことより, 閉塞性黄疸時にみられる間接型ビリルビンの増加に, 肝内でのβ-グルクロニダーゼによる直接型ビリルビンの脱抱合が重要な役割をなしているものと考えられた.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
次の記事
feedback
Top