日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
急性胃病変の成因に関する検討
1.胃粘膜エネルギー代謝の特異性
鎌田 武信佐藤 信紘川野 淳益沢 学房本 英之平松 紘一野口 正彦萩原 文二
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1977 年 74 巻 3 号 p. 321-328

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抄録

急性胃病変は胃体部に多発し幽門部には少ないことが知られているが, この差を粘膜エネルギー代謝の面より検討した. 家兎胃粘膜ではホモジネート, ミトコンドリア分画でも酸素消費量, チトクロームaa3量は共に胃体部が幽門部に比し2.5~3倍の高値を示した. ヒト胃粘膜でも全く同様であった.この差異は個々のミトコンドリア機能の差ではなく両部の単位重量あたりのミトコンドリアの量の差によるものと考えられた. この成績は胃体部粘膜の構造ど機能の維持は幽門部粘膜に比し好気性エネルギー代謝により強く依存していることを示すもので, 血流障害に伴なう酸素供給不全により鋭敏に反応すると考えられる.

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