日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
コレステロール胆石症の胆汁組成ならびにchenodeoxycholic acid療法における胆汁組成の変動に関する研究
大野 孝則大藤 正雄河村 浩一守田 政彦
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1977 年 74 巻 5 号 p. 619-633

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抄録

コレステロール胆のう胆石症28例と対照11例における十二指腸胆汁の組成胆汁脂質, 胆汁酸構成, 胆汁酸の抱合比 (G/T) を測定した.更に, CDCA療法を行つた胆のう胆石15例 (7例は500mg/日, 8例は300mg/日) のCDCA投与前と3ヵ月投与後の胆汁組成と血清胆汁酸を測定した.
胆石症の胆汁組成ではコレステロール濃度比が高く, 胆汁酸+レシチン/コレステロール, 胆酸/コレステロールが低値を示す傾向が認められた.胆汁酸構成やGITには特別の変化は認められなかつた.
CDCA投与により, 胆汁のコレステロール濃度比が低下した. 胆汁酸構成ではCDCAが著明に増加したが, LCAの上昇, G/Tの変化や血清胆汁酸の上昇は認められなかつた. CDCA500mg/日投与で, コレステロール濃度比の明らかな低下が認められ, 胆石溶解効果の裏付がなされた.

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