日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
各種肝疾患におけるニコチン酸試験の検討とその臨床応用について
大久保 秀樹武者 広隆小藤田 和郎奥田 邦雄
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1977 年 74 巻 5 号 p. 645-654

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抄録

ニコチン酸試験を各種肝疾患に実施し, 次の様な結果を得た.
(1) 非抱合型ビリルビン増加量, ピークに到る時間 (Peak Time), Retentionの3つのパラメーターで, ある程度肝疾患の鑑別が可能と思われる.
(2) 非抱合型高ビリルビン血症群では, 1mg/100ml以上の非抱合型ビリルビンの増加を認める場合, Gilbert症候群の診断が有力になる.
(3) ニコチン酸試験における非抱合型ビリルビンの産生には脾が重要な地位にある.
(4) プレドニゾロンによりビリルビン増加が抑制された.
即ち, ニコチン酸試験は内因性ビリルビン負荷試験として十分診断的有用性があるが, 脾の関与の大きいこと, プレドニゾロンその他の因子でかなり修飾されることなど, その解折には慎重でなくてはならない.

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