日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
胆石症における内視鏡的逆行性胆道造影法の診断能と限界
田畑 育男田島 強早川 和雄富田 志郎松川 昌勝
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1977 年 74 巻 7 号 p. 931-941

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抄録

胆石症484例に内視鏡的逆行性胆道造影法 (ERC) を施行し, 造影領域, 造影像の特徴および鑑別診断等の問題点に検討を加えた.
胆石症におけるERC可能の頻度は85.3%であつた. 胆嚢摘出術の既往の無い414例の造影領域は, 全胆道系が鮮明に描出されるものが49.3%であり, 胆嚢管・胆嚢共陰性11.1%, 胆嚢管閉塞18.6%, 総胆管閉塞5.1%および造影不能が15.9%であつた. さらに, 胆嚢内結石症で胆嚢充盈像が得られる頻度は57.7%であつた.
胆管閉塞像 (31例) や総肝管狭窄像 (11例) を示すものの中には, 悪性疾患と鑑別困難例が存在した.
陽性誤診の22例は, 胆石の自然消失, 胆嚢炎, 粘液または血液凝固塊, 胆嚢無形成, 異物等であつた.

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