1977 年 74 巻 8 号 p. 1013-1020
高ブドウ糖, 不飽和脂肪酸欠乏食で飼育したハムスターの胆石形成に及ぼす胆汁酸投与の影響とレシチン添加の効果を検討した. chenodeoxycholi cacid (CDCA) 単独投与では, 投与量によつて胆石形成率は異なり, 0.05% CDCAでは, ある程度胆石形成を抑制するが, 0.1%CDCAでは抑制効果は認められず, むしろレシチン単独投与の方がCDCAよりも胆石形成抑制効果は上廻つた. CDCAにレシチンを併用投与すると, CDCA投与量の如何を問わず, CDCAおよびレシチンのそれぞれ単独投与に比べて胆石形成率は有意に低下し, 胆石形成抑制効果は明らかに増強された. また胆汁組成においてもコレステロール溶存能の改善を認め, レシチン添加の有用性が示唆された.