日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
肝疾患におけるHBs抗原の肝組織内分布と細胞性免疫
小山 捷平清水 祥子戸川 潔梅田 典嗣大菅 俊明崎田 隆夫
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1977 年 74 巻 9 号 p. 1136-1145

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抄録

肝剖検例44例, 肝生検例82例につき, オルセイン, アルデヒド・フクシン染色を行い, さらに肝疾患患者の細胞性免疫能を併せて検討し以下の結果を得た.
(1) 剖検例における肝組織内HBs抗原の陽性率は44例中26例 (59.1%) を示し, 生検例では82例中16例 (19.6%) を示した. 特に亜急性肝萎縮, 肝硬変, 肝細胞癌で陽性率が高く, 肝炎のみならず肝硬変, 肝細胞癌発生におけるHBs抗原の関与が強く示唆された.
(2) HBs抗原の肝組織内の分布では肝疾患が重症化するにつれ, 単細胞型から散在型, 小葉型へと変化した.
(3) 免疫学的検索では, 肝硬変, 肝細胞癌におけるT細胞絶体数の低下にみる宿主の細胞性免疫能の低下が特徴的である.

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