日本消化器病学会雑誌
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胃•十二指腸潰瘍に対する各種胃手術前後の胃液, 特にペプシン分泌動態に関する研究
亀山 仁一関根 毅
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1978 年 75 巻 1 号 p. 9-19

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抄録

胃•十二指腸潰瘍140例を対象とし, 各種の胃手術を行ない, 術後, 遠隔時のインスリンおよびヒスタミン刺激における胃液, 特にペプシン分泌を中心に検討した. さらに, ペプシン分泌からみた迷切術の効果判定, 十二指腸潰瘍に対する手術々式の選択についても検討を行つた.
成績: 1) インスリンおよびヒスタミン刺激に対するペプシン分泌は胃酸分泌と異なる反応を示した. 2) ペプシン分泌の刺激効果についてみるとインスリンはヒスタミンよりも強い反応を示した. 3)ペプシン分泌からみると胃潰瘍に対する手術々式として幽門保存胃切除術および分節的胃切除術は広範囲胃切除術 (BI) よりも生理的である. 4)迷切兼幽門形成術および迷切兼胃半切除術の遠隔時のインスリン刺激にあけるPPOの減少率はそれぞれ80, 92%, ヒスタミン刺激では52, 74%であつた. 5)迷切兼幽門形成術を施行した症例ではインスリン刺激におけるPPOが100チロジン•mg/hr以下であれば迷切術は十分と考えられる. 6)十二指腸潰瘍の手術々式の選択に関してインスリン刺激における術前のPPOが500チロジン•mg/hr以下の症例には迷切兼幽門成形術, 500~1250チロジン•mg/hrの症例には迷切兼胃半切除術, 1250チロジン•mg/hr以上の症例には広範囲胃切除術などペプシン分泌の減少率のさらに大きな術式を選択することが妥当と思われる.

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