日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
犬の食道静脈瘤の作成と硬化剤の注射による治療
須川 暢一奥村 泰之
著者情報
ジャーナル フリー

1978 年 75 巻 10 号 p. 1519-1523

詳細
抄録

犬に食道静脈瘤を作成し, 硬化剤注射の効果をみる実験を行つた. 奇静脈の結紮と上大静脈の狭窄によつて犬の上部食道に静脈瘤を35頭中11頭に作成した. Tamiya と Thal の方法で下部食道静脈瘤を15頭中5頭に作成した. 食道静脈瘤の発生した7頭に5% Sodium morrhuate の局注を行つた. 食道静脈瘤は内視鏡的に消失し, 組織検査では注射部位の炎症性変化, 静脈壁の高度の肥厚, 静脈血栓がみられた. 3頭に浅い食道潰瘍が発生したが治癒した. 表層性腹壁静脈瘤に対する Sodium Morrhuate 局注の効果を調べた. 食道静脈瘤の凝固剤局注で治療が可能である事を実験的に示した. 臨床的応用及び検討が大切と思われる.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
次の記事
feedback
Top